猫の瞳孔が開きっぱなしになっていることって、
実はかなり多い眼科の症状だったりします。
でも、気付かれていないことも結構あります。
お年の猫さんでワクチン打ちに来たら分かったとか。。。
どんな原因が考えられるのか、まとめてみました。
瞳孔が開いているときにはたくさんの病気が疑われる!
瞳孔が開いている(散瞳)ときには以下のような病気が疑われます。
特に高齢の場合には要注意!
大元の病気が寿命に関係する病気の可能性もあります。
・ 緑内障
・ 高血圧
・ 腎不全
・ 甲状腺機能亢進症
・ 網膜剥離
・ 眼底出血
・ 白内障
・ その他
高齢だったら、腎不全か甲状腺機能亢進症?
こんな書き方したら怒られちゃいますが、
高齢の場合には慢性腎不全や甲状腺機能亢進症が
病気として隠れている可能性があります。
(もちろん他の病気の可能性もあります!)
どちらも慢性疾患で症状の分かりにくい(気付かれにくい)
病気だったりしますので、散瞳という症状が
治療のきっかけになってくれることが多々あります。
慢性腎不全では病気が進行すると、高血圧になります。
眼の血管はもともと血圧の変化に弱い構造になっているため、
血圧が上がってくると(それこそ300とか)
眼底出血を起こしたり、網膜剥離の原因となったりします。
瞳孔はもともと光を感じて収縮するようにできていますので、
眼底出血や網膜剥離で眼が見えなくなると
瞳孔が開いたままになってしまいます。
また、甲状腺機能亢進症では甲状腺のホルモンが
過剰に分泌された結果、交感神経優位(いわゆる興奮状態)
になるため、瞳孔が開き気味になります。
いわゆるぎらぎらした眼になるのがこの病気の特徴です。
幸いにもどちらの病気も診断が難しくありません。
血液検査、血圧測定、尿検査etcを調べればすぐに診断が
つくと思います。
それぞれの病気の他の症状は?
ここまで話すとちょっと心配になってきた方もいるかもしれません。
慢性腎不全(+高血圧)と甲状腺機能亢進症それぞれの
散瞳以外の症状も少しだけ触れたいと思います。
ほんの少しだけね!
慢性腎不全
☆多飲多尿:体重1kgあたり100ml以上飲み、
50ml以上の尿が出る状態。
そのほか:体重減少、食欲低下、脱水 などなど
甲状腺機能亢進症
☆よく食べるのに体重は減ってきた。
☆攻撃的になった、年なのに以前にも増して元気。
そのほか:体調に波が出る、一時的な食欲不振 などなど
それ以外の病気は?
それ以外の病気には緑内障や白内障、虹彩の菲薄化、
神経疾患などが考えられます、
これらの病気の場合にはそれ以外の所見がある場合が
ほとんどですから、まずは動物病院に相談してください。
眼の症状は全身疾患の最初に発見される症状のことも
少なくありません。
よく見ていただいている飼い主様の感じる違和感は
正しいことがほとんどです。
普段からよく観察してあげてくださいね!!
この症状は、猫ちゃん特有な症状なんですか?
加藤様 コメントありがとうございます。
いえいえ、ワンちゃんでも幾つか考えられる病気はあります。
症状というのは何か原因があって出てきているものですからね。
犬では瞳孔の菲薄化や網膜の病気、緑内障など眼や神経の病気が多いような感触がありますね。
ただ、今回お話しした甲状腺機能亢進症や慢性腎不全といった病気は高齢の猫ちゃんに特別多い病気で、診療していてもたくさん遭遇する病気ですので、記事にさせていただきました。甲状腺機能亢進症などは犬にはほとんど見られない病気です。