前回は犬の緑内障とはどんなものか
眼圧はどうやって上昇するのかをお話ししました
今回は眼圧が上昇したことでどのような症状が
出てくるのか、一緒に見ていきましょう
眼圧が上がると何が起こるのか?
前回お伝えした通り
眼圧とは眼内の水の量のこと
眼圧が上がるとは水の量が増えることです
ちょうど水風船の中の水の量が変化していると考えてください
水の量が増えると眼の中の他の様々な部分を圧迫していくので
それぞれに部分に応じた症状が出ます
1. 瞳孔・・・散瞳(瞳孔開きっぱなし)
2. 角膜・・・角膜の混濁
3. 眼の血管・・・上強膜血管の怒張
4. 視神経・・・視神経乳頭の変化(陥凹)
etc
また、眼は水風船のように簡単には膨らみませんから
水が増えることにより眼全体の圧迫を起こし
5. 痛み(時には食欲がなくなるほどの強い)
6. 眼球拡張(牛眼)
といった症状も認められます
緑内障の症状を写真で見てみよう
ではそれぞれの症状がどんなものか
写真で見てみましょう
このわんちゃんの眼は瞳孔が開いていて角膜も濁っています
(1.角膜混濁・2.瞳孔散大)
治療して1時間後にはこうなりました
瞳孔が見えるようになりましたよね?
眼圧が下がって瞳孔と角膜の圧迫が解除された結果です
また、あるわんちゃんの結膜(白目)はこんな風になっていました
上の方に太い血管が蛇行していますね
これが3.上強膜血管の怒張です
最後に緑内障の末期のわんちゃんの写真です
眼球自体が大きくなってしまっています(眼球拡張)
この状態になると眼が閉じれなくなったり、ドライアイになったり
さまざまな障害が起きてきます
飼い主が緑内障の症状を知っておくことは重要
緑内障は緊急疾患です
視覚を守るためには視神経が傷つく前に
いかに早く眼圧を下げるか、の戦いになります
そのためには眼圧が上がっていることに早く気付く必要があります
おそらくこの中で飼い主様が最初に気付く症状は
3.上強膜血管の怒張 だと思います
こんな症状はなっていれば絶対に違和感を感じるはずなので
日ごろから愛犬の眼をよく見ておいてあげてください^^
くじら先生
初めまして、老犬のチワワと過ごすアズミです。
非常に分かりやすいお話のブログに感謝です。
愛犬の瞳の変化には気付いておりホームドクターには何度も話をしておりました。
片目は瞳孔が開いているが見えている、白目の充血は通常程度と言われ治療はしていません。
そのうち一気に(2ヶ月くらいで)白内障がすすみ片目どころか両目が真っ白に、白目の充血は相変わらずあり、瞳孔が開いていた方の黒目はひび割れたような線まで出て本当にこのまま放置しかないの?と思いました。
ブログを拝見していると愛犬は緑内障や水晶体前方脱臼の可能性もあるのでは?白内障だとしても、対処法があるのでは、と。
酷くなると中のタンパク質が出て真っ赤になると聞かされましたが手術はリスクが高い年令です。最善策を見出すためのヒントだけでも頂きたいとコメントさせて頂きました。症状診ず限界があると思いますが宜しくお願い致します。
アズミさん
返信遅くなりました。
年齢ですが、16歳の犬に白内障手術をしたこともありますので、完全に手術を選択肢から外す必要は無いかと思います。
その子は手術後視覚を回復しました。
お話を聞く限り成熟白内障なのかと思いますが、もし手術をしない場合には緑内障などの予防のため、消炎剤の点眼を勧めることが多いです。
そのほかの疾患の可能性についてはもちろん否定できませんが、診察をしていないので、その点のコメントは避けさせて頂きます。